1.株よりも安全な資産の利率が上がってきた
国内債券は株よりもリスクは低いですが、その分利回りは悪いです。
しかし最近国債の特に10年債の利率が1%を超えてきています。
10年国債であれば10年保有の間も途中で利率の見直しもありますので、これから買ってもどんどん利率が上がる可能性が出てきています。
ただし、利率が上がっているということは債権そのものの価値は下がっているということです。
売りたいときに買う人がいるかどうか。
10年満期まで持っていれば国が買い上げてくれますので問題ないことではありますが、途中での売却がしにくい可能性があることがリスクでしょうか。
国内企業の株はPBR1倍達成をひとつの目安としています。
これは1よりも低い値である場合、企業価値が全株式の評価額よりも低くなるため、株を買い占めると、それ以上のリターンが見込める状態になってしまうからです。
ですので、企業は株価を上げてPBRを改善しようとしていますが、国債の利回りよりも低い配当率の企業は株が売れなくなる気がします。
国債を買った方が安全で利回りが良くなる逆転現象が起きるからです。
企業の勝ちは株価だけでは測れませんし、惚れこんが企業の株ならホールドしても良いと思いますが、一つの目安として成り立つと思います。
考え方は人それぞれですが、1%なら即く売却して国債を買った方が良しです。
2024年6月27時点で個人向け 日本国債10年(変動金利)の年利は 1.001% です。
PBR1倍以下の企業はねらい目ですが、株の配当利率が上記の10年国債年率よりも大幅に高くない(各人の資産状況等により判断基準はおそらく異なるが)、例えば株価に対する配当金額が年間1.5%未満なら投資の価値無しと判断して良いと思います。
私の場合は国債年利率が1%付近であれば、配当2%未満の企業の株は長期投資の対象から外します。
2.日銀の利息が上昇トレンドなので株安方向に振れる
2024年7月31日に日銀は更なる利上げを公表しました。
振れ幅0.25%まで利率が上がったことになります。
アメリカとの金利差はこれでも4%以上ありますから、アメリカの金利が下がらなければまだまだ利上げのトレンドが続きます。
そうなると通常は株安になりますので(リスクのある株式投資より普通預金を好む客層もいるため)株の上値は重くなります。
ただし製造業などの輸出関連業は利上げによる円高の恩恵もありますので、一概に株安に触れるとは言い切れない状況です。
金融株は利上げによる本業の利益創出が見込めますので、株高予想です。
つまりこれまでよりは全面的に株が上がる局面から離脱する企業が増えます。
今でも不祥事が絡むなどして株価の上がっていない企業はありますので、倒産危機がないか、商品が好きで買っている企業の株なのかどうか、長く考え抜いて株式投資先をスイッチすることも必要です。
ただし多くの企業では、当面は株高が継続されるためPBR改善の余地があります。
TOPIXが倍になることもありえない話ではない為、長期間保有でも問題ないと思います。
長期投資による配当が目的である場合、株価は配当金が上下する材料としてみるべきです。
倒産しなければ株価が下がっても、配当による穴埋めがある程度は可能なのと、来年また新NISAの成長投資枠が240万円分与えられますから、株安は投資単価を下げる力が働きます。
悪いことだけではないので、投資できる分の余剰キャッシュを準備して株価下落にも備えましょう。
2024年8月2日からの日経平均株価の大暴落で、PBR1倍割れの企業が乱立しています。
配当金の改定された時の株価に戻っている企業が多いと思いますので、来年以降も業績が変わらなければ、大暴落を契機とした配当の減配は無さそうです。
3.国が投資をすすめるということ
国が積極的に投資を推進する、特に新NISAによる長期投資を推進するということは、投資される企業側の責任も増します。
配当率の低い企業は、個人投資家は投資しにくくなるでしょう。
つまりPBR1倍以上を維持するためには 、長期投資家の目的でもある配当率が目安になります。
設備投資をするために、配当に回すキャッシュを準備できないのでは新NISA時代の企業としては成り立ちえません。
国が投資を積極的に推進するということは、企業側に経済安定性について努力してもらうということです。
これまで金利優遇・金融緩和をして賃金を上げてこなかった企業側への問題提起も含んでいると個人的には思います。
陰謀論もささやかれていますが、むしろNISAによる国の思惑は、個人投資家を対象にしたものではなく、上場企業の配当をターゲットにしていると思われます。
賃金上昇を企業と労働者との折り合いはタイムオーバーで、労働組合は機能していないとの認識ではないでしょうか。
4.2024年8月の日経平均暴落は全ての株が暴落したわけではない
暴落率を見ると企業によって下落率がだいぶ異なりますね。
7月末の週から例の暴落で30%下がった企業もあれば、1割も下がっていない企業もあります。
金利上昇で利益が増えるはずの企業でも30%下落した企業もありました。収益も悪くないどころか近年ではかなり良い成績であるにもかかわらず30%下落しています。
今も半値も戻っていませんが、回復しきるのかどうか。もしくはこれから下がるのか。
私の予定では、円の金利が上がり切ったころに株価の上昇は重くなると思っているので、そこで下がった株(主に製造業)をリスクヘッジとして何単元か購入しようと思っていました。
個人的に好きな製品を作っている企業です。
ここ1年以上、株価の推移も見ている状態ですが、暴落でわずかしか値落ちしませんでした。
率にして5%。
ですが、利上げでメインと考えていた企業の株価が下がっている状況ですので、まだまだ投資家心理が良くなく、また下がるべき企業の株が下がっていないのでこれから下がるのか、下がらないのか分からない為、様子見をしています。
元々はここ6年で金融株をNISAで単価分散しながら購入をすすめ、利上げしきった状況で下がった製造業の株を購入する予定だったのですが、全く予想していない株価の動きをしています。
おそらくですが、企業の業績よりも投資家心理が悪化しているのか、投機企業による空売りによる株価下落が発生している またはこれらの複合要因だと思いますので、私には相場が読めません。本来株価が戻る場面ですが、戻り切っていませんので。
しばし様子を見て、株価のトレンドが上昇に戻ったか、下落のままかを見てみたいと思います。
今年は投資しなくても良い気もしていますので、しばし静観です。
5.PBR1倍以下で利回りが普通の企業の株を買うということ
倒産の危機がただちにない(つまり現金を多く持っている)企業が限定ですが、PBR1倍で利回り普通な企業の 株を取得する戦略もあります。
長期投資ではなく、中期的な投資に位置すると思います。
PBR1倍に近い企業であれば、株価上昇を期待しての現物株の保有です。
PBR1倍に全く満たない企業の株の場合は、M&A つまり 企業の買収を狙っての株の購入です。
自分が買収するわけではなく、大手のM&A筋が買収する時には一般株主に向けて売却の公募があります。
PBRが1倍から離れるほど、株価と企業価値が乖離していますから、公募で釣りあげられる株価も大きくなると見てもよいはずです。
M&Aは経済雑誌や新聞でも同行が掲載されますが、必ずしも正しい情報ではありませんので注意が必要です。
相場に慣れている方が行う手段で、塩漬けにしても問題ない程度の金額でとどめておくべきでしょう。多くの場合、当面塩漬けになると思われます。